Solo2012ライブレポート

Solo2012ライブレポート
たくさんの人が行き交う大きな品川駅から、オフィス街の喧騒を逃れるように歩いていくと、大きな木々に囲まれた、立派な品川教会が見えてくる。前年度よりスタートした"ソロ"での演奏をテーマに行っているイベント『TONOFON presents SOLO』、その第二回が、この品川教会で行われた。

今回出演したのは、トクマルシューゴと、同じく、日本に留まらず世界中で活躍し、独自のペースを保ちながら幅広いフィールドで様々な作品を生み出している高木正勝氏。2009年にNewsweek Japanが発表した『世界が尊敬する日本人100人』に選ばれたふたりの共演という、すばらしい組み合わせとなった。

高木氏は映画音楽を手掛けた『おおかみこどもの雨と雪』の公開直後、トクマルは新作アルバム『In Focus?』発売直前というタイミングも重なって、チケットは販売直後に即完売、抽選で選ばれた350名を前に一夜限りの貴重なライブが行われた。
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
高い天井にそびえ立つ、日本最大級のパイプオルガンが大迫力で迎えてくれる。木目の美しいステージにシンプルな豆電球の照明が小さな星座のように下がっている。 ステージ中央には大きなグランドピアノとギターがポツンと置かれている。ぞくぞくと入場してくる観客は長椅子に座り静かに開演を待っていた。
Solo2012ライブレポート日誌
照明が落とされ、会場がより深い静寂に包まれると、そっと高木がステージ上に現れた。ピアノの鍵盤に指を落とすと、高い天井にピアノの音が豊かに広がる。艶のあるすばらしく豊潤な音が、会場の隅々まで響き渡る。なんともすばらしい響き!
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
ゆるやかに一音一音の行方を確かめるように始まった高木の演奏は、その響き合う音のふくらみが大きくなるに連れて激しさを増し、大きな空が真っ白な雲にみるみると覆われるかのように、次第に高木は次々と生まれる音の流れに身を委ね飲み込まれてゆき、その大きな雲のような音楽に観客も飲み込まれていった。
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
数曲の演奏を終えた高木がふと時間を確認すると、もうあとわずかしか時間が残っておらず、高木自身もびっくりしていたが、聴いていた我々も『もうそんな時間?』を思うほど、心地よくあっという間に時が過ぎてしまった。全17曲。そして、最後の曲を演奏するとにこやかにステージを去っていった。
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
続いて登場したトクマルシューゴは、これまた飄々とステージに現れ、ギターを抱えて椅子に座る。
そして一音目がならされると、熟して弾けた種のように、広い天井に乾いたアコースティックギターの音がポーンと響いた。 かと思うと、綿密に描かれた設計図を自らの意思で構築するように、音たちが決められた配置に向かってそれぞれの音を響かせている。音に身を委ねる高木とは対照的に、高く広がる空間で音を自由に遊ばせるように見事に操るトクマル。
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
アコースティックギターだけではなく、エレキギターやウクレレなどで、多彩な表現を見せたトクマル。
"Linne"ではラストのコーラスで客席に合唱を誘うと、小さな合唱が、賛美歌のように美しく教会に響き渡る。
なかでも、「せっかくなので」と演奏されたパイプオルガンでの"Orange"もまたすばらしかった。始めは"トッカータとフーガニ短調"のイントロフレーズを弾いて笑いを取っていたが、ひとたび曲の演奏が始まると、マイクの必要のない大音量の荘厳なパイプオルガンの響きと、繊細で力強い歌声に会場全体が息をのんだ。
Solo2012ライブレポート日誌

Solo2012ライブレポート日誌
トクマルシューゴの演奏が終わり、大きな拍手とともにアンコールが巻き起こると、トクマルは高木正勝をステージに呼び込み、ふたりで高木正勝の"Girls"とトクマルシューゴの"Such a color"の演奏を行った。
実は前日の夜にtwitterでファンの方から共演を希望する呼びかけがあったのがきっかけで急遽一緒に演奏する事になったようで、リハーサルではコード進行の確認だけすると、演奏について詳しく相談するでもなく、他にも好きな曲があるからその曲も一緒に演奏したかったなー、などほのぼのと会話しつつ、軽く合わせて終了。果たして本番では一体どんな演奏になるのだろうかと楽しみにしていたのだが、これがまたすごかった!!
出番を終え、感覚がすっかり研ぎすまされたふたりの演奏は、トクマルのギターの音と、高木のピアノの音とが、呼びかけ合うように共鳴し、泳ぐように滑らかに加速していった。本当に素晴らしかった!!
Solo2012ライブレポート日誌
これまでイベントでの共演などはあったものの、ちゃんとした共演は今回が初めてのふたり。
お互い物静かで、外見はふわふわしたような雰囲気をまといつつも、全くブレることのない、芯のある活動をワールドワイドに続けてきたふたりは、多くは語らずとも、きっと共鳴し合うところがあったのではないだろうか。演奏が終わると最後は熱い握手を交わし、大歓声の中、照れ笑いしながらそっとステージを去っていった。





copyright©Tonofon. all rights reserved.