ゲラーズ『グァテマラ』PV試聴ページ

GELLERSのPV撮影日誌 [text by shugo tokumaru]

元々、この曲を作ったのは2006年。GELLERSの曲として完成したのは2008年です。
この音源を録音をしたのが2010年9月頃。それくらいの頃のことです。

(まずはPV(ミュージックビデオ)をご覧下さい。)


GELLERS / GUATEMALA(compare notes cn-0029)

2010年9月某日

メンバー5人が集まりPVを作ろうと提案する。色味の強いカラフルでスピード感のある映像と、物語があるものを目標とした。皆から様々な卑猥な案が浮かんだが、結局落ち着いたのは一人の男と一人の巨人の物語。童話の『泣いた赤鬼』のような話のイメージだったと思う。



男優の案にまっさきに浮かんできたのは柴崎佑二という男で、顔がイイという理由だった。ゲラーズの意見が全員一致することは珍しい。撮影/監督もこれまた全員一致で、兼ねてからの知り合いであった大石規湖を起用することになった。台本の大枠は我々が考えたが、細かい部分や話の展開/編集などを大石監督がうまくまとめてくれ、我々の一致しない意見を最後までよく聞いてくださった。



2010年9月某日(人形制作+台本制作)

台本を考えつつ、人形制作に入る。これにはかなりの時間とお金を費やした。まず巨大な手と腕を作り、体部分の布を縫いつけた。布は10m×10mの服となる。完成すれば高さ4〜5mの巨大人形が出来る寸法だ。とにかく大きければ良い、でかい=最高、だった。

顔は田代(Key, Vo)がデザインした下書きが元。外人プロレスラーのような強面。 なんとも言えない表情にすることは一致していた。


顔の骨格を粘土で新町(Dr)と田代が作り、川副(Gt, Vo)が顔を形成していく。しかし、どうしてもおじいちゃんになってしまう。鼻を高くしファンデーションを塗り、人形にカツラをかぶせると、なんとかおじいちゃんぽさが抜け、顔が完成。あまりにリアルな顔になったのでとにかく気持ち悪かったが、理想の顔が出来上がった。



2010年10月某日(人形組み立て)

実験的に人形を組み立ててみることにする。10mx10mの布を広げると予想以上に大きかった。今思えば、我々には無謀な挑戦だったのかもしれない。

製作中、メンバーがグラビア撮影をしていたおかげで、人形を組み立てた頃には日は落ちて、真っ暗で何も見えず、完成図はよくわからなかった。



2010年10月某日(撮影初日)

深夜2時頃に撮影のため現地へ出発。撮影場所にはとある山のロッジを借りた。 天気予報は100%雨だったが、天気は我々に味方し雨はほぼ降らず。 ただ気温は低く撮影中は終始極寒だった。 到着したのは早朝。本当は朝靄の中で「失楽園」のラストシーンを再現する予定だったが、なんとなく断念した。

撮影場所の下見をして、ロッジ周辺を掃除をして、人形を組み立て始め。ところが早速、人形の体の支えとなっていた背骨がボキっと折れた。これには参った。仕方がないので支え木をくべて背骨を作ったが、相当の重さになってしまった。とてもじゃないが一人じゃ支えてられない。支えて、さらに持ち上げないと4m以上にはならない。しかも動かなければならない…。おまけに頭が体につかなくなってしまったので、頭を布に縫い付けた。 かなり不安定だったので、さっさと撮影に入ることにした。(撮影の終盤では大きさは2mくらいになっていた。)



昼の12時を過ぎ、徹夜中なので、この辺から記憶が曖昧になっています。

メンバーが順番に仮眠をとりながらも撮影はこの日の深夜までに及ぶ。そういえば、撮影もしていた大石監督は最後まで休みをとらなかった。きっとあの人は頭がおかしいんだ。

人形が家の中を覗くシーン。ロッジ周辺を歩くシーン。花火のシーン。男が走るシーン。練乳をぶちまけるシーン。そして、最大の山場であったジャグジー入浴シーンの撮影は数時間にも及んだ。全てのシーン撮影がユニークで、仮眠をとるのがもったいないくらいだった。



そしてもうひとつのハイライトは、田代大久保(Ba)によるSMシーン。あれは元々は撮影予定にはなかった。「楽しそうに暮らしている人間たちを人形が羨ましそうに見てる。」というシーンのための撮影だったが…。



2010年10月某日(撮影2日目)

朝も早起き、涙のシーンのコマ撮りを大石監督は一人でもくもくと撮影し続けていた。
我々はただ応援するしかなかった。いや、応援もしてない気がする。

大雨が降ってしまったので、野外で撮影することを諦め、屋内で撮影した。
その間、自分はひとりロケ地探しに周辺の湖畔をめぐる。良さそうな場所があったので、最後の撮影に望んだ。雨は止みちょうど良いどんよりとした雰囲気になっていた。

この時にすでに人形の体は限界にきていて。それでも最後の力を振り絞り、人形はがんばった。

がんばって、実際に人形は崩壊して、燃え尽きた。

いまでも思い出すと寂しい気持ちになる。最後まで名前がつかなかった人形でした。



2010年11月某日(撮影3日目)

某スタジオでバンド演奏の収録。本来なら当て振り演奏など進んでやらないのだが、この際だから意外とベタにやっといた方が良いんじゃないか、という意見でまとまりやることになった。残った人形の布や残骸で装飾を施し、撮影した。


2011年2月某日

ゆっくりと編集は進み、音源のマスタリングも終わり、完成。
楽しんでもらえると幸いです。



GELLERS are 新町、田代、トクマル、川副、大久保(写真 L→R)

 



 

BIG SINGLE "ガテマラ" by GELLERS

2011.4.15 ON SALE

1.Guatemala 2. 今日のできごと 3. Flashback Bitch Song

4. M(Live) 5. Buscape(Live) 6. Colorado(Live) 7. 9 Teeth Picabia(Live)

(compare notes cn-0029) 価格:1,000 円(税込)


アナログ盤の発売有り!

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