パスカルズインタビュー

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ー元々どういった繋がりなんですか?

原さとし:メンバーの大半が"地下生活者"っていうフォークサークルにいて、僕は大谷ひろゆきさんのバックでベースを弾いていたんですよ、もちろんバンジョーも弾いていたけど。その頃まだ富山にいて、たまたま『地下生活者の夜』っていうオールナイトのイベントに誘われて、そこで皆と知り合って、それから東京に来ることになって、ギターの太郎さんがパスカルズを辞めたんで、(パスカルズ トイピアノの)あかねちゃんか誰かに誘われて、それで入ったんです。

※"地下生活者の夜":1982年頃から始まった現在も存続中のライブイベント。パスカルズの石川氏と知久氏はこのイベントをきっかけに "たま"を結成したことでも知られている。

ロケット・マツ:で、太郎が戻ってきたんだよね。それで原君も残って、14人の大編成で2000年くらいから変わってないんじゃないかな。12年くらい。

―大所帯のバンドってどうしても入れ替わりが多いですけども、10年以上も14人っていう大所帯を続けられる秘訣ってなんですか?

ロケット・マツ:音楽以外の仕事を持っているメンバーが多く、全員が専業ミュージシャンじゃないっていうのが、逆に強みなんじゃないかと思い ます。あとはやっぱりみんな長い歴史があるよね、"地下生活者"の繋がりや、"たま"の周りなど。僕なんかは後から来たようなもんで…そういうしっかりした繋がりがある上に、いい加減な活動があるっていうか、あまり普通のバンドほどの縛りは無いっていう。

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原さとし:1963年 富山県生まれ。アメリカの伝統楽器の5弦バンジョー
奏者。アーティストのサポートやNHK教育TVでの演奏、楽器演奏指導
など、日本におけるバンジョーの普及に力を注いでいる。

原さとし:天才肌の人が多いから、フタ開けてみるとこんなになっちゃったていう、そういうのが面白かったり。もちろんマツさんが譜面を書いてきて、ストリングスアレンジもちゃんとされているんだけど、僕とか(パスカルズ ウクレレの)知久君とかはその場でパッと合わせてっていうような。太郎さん経由で指示は来たりするけど、あまり縛りも多く無くって、知久君のかっこいい音に寄り添う様な、隙間に入る様な、自然にそっちの方になっていく様な感覚でやっているんだけど、それが楽しくってやっているっていう、そんなスタンスです。

クリスチィヌ:原さんみたいに技術的にすごい方もいれば、マツさんが誘ってきた時、バイオリンを独学で始めたばかりの人が2人いて。バイオリンってすごく難しいんですよ、あれを独学でやろうなんていうのはまず無理なんですけど、そんなメンバーを入れてしまうところがすごい。でもそれぞれが無理をしないで楽しめるっていうか。原さんにバイオリン隊のやっている事をやれとは言わないし、バイオリン隊に原さんの様に弾けとは言わないから、それが長続きしているのかな。適材適所っていう。

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トクマル:バランスが良いですよね。楽器中心のバンドだとテクニカルな要素が増えちゃったりするんですけど、パスカルズはなんですかねあの感じは...

―バンド全体で音を出しているって感じですよね。

トクマル:うん。もしかしたらパスカル・コムラードをカバーするために始まったからかもしれないんですけど、何か意図的なものがあったりしたんですか?

ロケット・マツ:最初の頃はそういう事をすごく考えた記憶があるんです。お客さんにプレゼントするにはどういう風にしたら良いのかなぁとか。
最初は客席の中で演奏していたんですよ。お客さんと渾然一体となったものがやりたくて、ステージ に乗らずにやっていたんです。だけどフランスに呼ばれた時にどうしてもステージに乗らなくてはいけなくなってしまったんです。そうすると海外ですし、お客さんの反応がグワーって来るんですが、こちら側にも何か圧力みたいなものが生じちゃうんです。その時は自分の中で、『これはすごくまずいかな。』って思いました。その後ツアーをやっているうちに自然にいい感じで演奏出来る様になったのですが...
なんというか、『圧力が無い感じというか、気づいたらお客さんと一体になっているような感じ。』当初はそれを目指していました。
『上手いも下手もないようなもの。』をプレゼントできたらいいなって思いながらやっていました。理想ですけど。

―演奏する事を『プレゼントする』と表現される方をあまり他で聞いた事はありませんが、やはり常に『プレゼントする』という事を意識しているのでしょうか?

ロケット・マツ:言葉にしちゃうと恥ずかしいかもしれないけど、僕はプレゼントするという事を意識しますね。もちろんその為にやりたい事を曲げたりはしないけど。やっぱり最終的には差し出すってイメージは特にライブにはあります。

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クリスチィヌ:ライブの後の感想とか見ると、すごい多幸感とか、パスカルズはみんなすごく楽しそうに演奏しているとか。

原さとし:(パスカルズ パーカッションの)石川さんが前にいたらね。

一同(笑)

クリスチィヌ:お客さんでパスカルズはみんな妖精じゃないかって言う人もいました(笑)

トクマル:確かにただならぬ空気は感じます。

―他のバンドには無い感じですよね。

ロケット・マツ:そうなんですか、自分たちの事を客席で観る事ができないからね...

クリスチィヌ:(パスカルズ バイオリンの)サラさんとかとなんでそう思われるんだろうって考えてみたんですよ。もしかしたら普通のインストバンドって大体みんなすごく上手で演奏に打ち込んでいて、パスカルズみたいにヘラヘラしているバンドってあんまりいないのかなって。TONOFONのDVDを観たら、知久君とかもすごい笑って演奏してたり、なんかそういうのが観ている人に楽しいって思わせるのかなって。

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