TONOFON presents SOLO2011 LIVE REPORT

TONOFON SOLO2011
2011年11月9日と11月10日、2日間にわたって行われたソロイベント。会場は自由学園明日館。

フランク・ロイド・ライトの設計により大正時代に建設され、現在は重要文化財に指定されています。

その敷地内にあり、同じく重要文化財である講堂にて行われました。

初日は3組のソロ演奏が行われる3マン企画。2日目はトクマルシューゴの完全ソロワンマン企画。両日のライブの様子をレポートします。

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November 9,2011 >>> Alfred Beach Sandal / saya / SHUGO TOKUMARU

会場に到着し講堂に足を踏み入れると、ひんやりとした木造の建物。木材の呼吸まで聴こえてきそうな静かなそこは、壁一面に配置された背の高くて大きな窓から差し込む日差しが、長い時間をかけてしっとりと艶めいた床を鮮やかに照らしていた。きれいに並べられた長椅子の奥に目をやると、殺風景なステージの上にポツンとグランドピアノが置かれていて、クラシカルなスーツ姿の白髪の男性が黙々とそのピアノの調律をしていた。

このロケーションだけで、素晴らしいイベントになりそうな予感が既に沸々としてくる。

会場は1927年に建てられたもので、現在では様々なイベントに使用されてはいるものの、やはりライブイベントをするとなると様々な難題もある。早い時間から会場入りし、サウンドシステムや照明などの設営が行われた。

せっかくの素晴らしい会場の雰囲気を壊さないようにとトクマル自らも足を運びスタッフと一緒に選んだタグチのスピーカーたち。音はもちろんのこと、デザインがどれもクラシカルで素晴らしい。照明も、最低限の小さな灯りたちがそっと灯された。手製のシンプルな木製シェードが白熱灯のやわらかな光をそっと包み込み、まるで最初からそこに在ったかのようにステージを照らした。

すっと会場の光が落ち、まず始めにトクマルシューゴが簡単に挨拶をした。
トクマルあいさつ
Alfred Beach Sandal

紹介を受けステージに現れたのはSSW北里によるソロユニット、Alfred Beach Sandal。
2011年に1stアルバムをリリースし注目も集まっている。トクマル自身も2010年のベストアルバムに選んでいる。
最近ではバンドでの演奏も多く、そのダイナミックなライブスタイルにも注目されているが、元々はひとりでよく演奏していた彼のソロパフォーマンスは、巧みに建設されたコードワークと、ユニークな物語が綴られた歌詞、そして彼のとろけるような軽やかな歌声がダイレクトに飛び込んでくる。会場の雰囲気と相まって、まるで彼の物語の中に迷い込んだかのよう。皆その不思議なストーリに耳を傾けていた。

Alfred Beach Sandal 1

Alfred Beach Sandal 2

Alfred Beach Sandal 3
さや
次に演奏したのがテニスコーツというユニットで活動するさや。普段は滅多にやらないひとりでの演奏となった。
ステージ袖から現れたかと思うと、そのままピアノの横を通り過ぎステージの真ん中にぽつんと立ったさやが、ゆっくりと会場の空気を確かめるように、アカペラで歌い出す。トクマル自身も「さやさんの音楽に対する姿勢が大好きだ。」と語るように、どんな空間でも音楽と結びつけてしまう。会場の静寂の中を自在に巡る歌声が美しい。そして、ピアノでの弾き語り。当日の朝に作ったという曲もあり、ひとつひとつの音と会話するように丁寧に演奏していく。それらは、笑ったり泣いたり、当たり前のようで奇跡みたいな日々そのものであった。
さや 1

さや 2

さや 3
さやの最後の曲で「おーい」と呼ばれ、ウクレレ片手にふらりと現れたトクマル。さやが始まる直前に演奏を頼まれたというその曲を探りさぐり演奏し、つかみ所のないゆるさで幕を閉じた。
さや 4
トクマルシューゴ
そして1日目の最後。トクマルはギターを片手にふらりと現れた。
最近ではトリオ〜6人編成でライブを行う事も多いが、 元々はソロで、国内外にて数多くのライブ活動を行っていた。
過去の曲から、最近バンドで演奏し始めたばかりの新曲まで、ダイナミックな曲もギター一本で巧みに表現していた。ソロライブでは演奏された事のない『La La Radio』の演奏が始まると、会場から驚きの声も上がった。ピアノ弾き語りによる『Linne』や、二階堂和美の『脈拍』のカバーなど普段のライブでは聴けない曲も披露された。そして『Wedding』で一日目の幕を閉じた。
トクマルシューゴ 1

トクマルシューゴ 2

トクマルシューゴ 3
photo by 大塚日出樹
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